変形性膝関節症 半月板損傷について
こんにちは!
今日は当院でもよくご相談を受ける『膝の痛み』についてお伝えしていきたいと思います。
今回は特に年齢を重ねた方に多い膝の痛みについてフォーカスし、まとめていますので是非、一読いただき、参考にして頂ければと思います。
膝の痛みの原因は様々ですが、大きく分類すると以下のように分けることができます。
変性疾患
● 変形性膝関節症
● 骨壊死
炎症性疾患
● 関節リウマチ
● 偽痛風
● 化膿性膝関節炎
外傷性疾患
● 骨折
● 靭帯損傷
● 半月板損傷
● 軟骨損傷
腫瘍性疾患
● 骨・軟骨の腫瘍
● 筋肉・腱・滑膜の腫瘍
年齢を重ねた方で特に多くみられる膝痛として特に多いのが
半月板損傷
変形性膝関節症
があります。
今回はこの2つの症状について、原因や症状、当院での治療についてまとめていきたいと思います。
半月板損傷
〈原因〉
半月板は荷重(体重)の分散機能を有する重要な組織になります。荷重(体重)が負荷された状態で、膝関節に強い内・外旋(捻じる)の力が加わると、半月板が損傷を受けます。スポーツ活動中の切り返し(ターン動作)で損傷することも多いですが、年齢を重ねると日常生活のわずかな力でも損傷しやすいケガになります。
半月板の断裂には様々な形態がありますが、大きく3つに分けられ縦断裂、横断裂、水平断裂に分類されます。
〈症状〉
損傷している半月板(内側半月板であれば内側に、外側半月板は外側に)に一致した疼痛、関節裂隙に圧痛、腫脹、可動域制限を認め、状態によっては大腿四頭筋の萎縮も認めることもあります。半月板の損傷が辺縁部まで及んでいる場合は関節血腫を認めることもありますが、頻度としては低いです。
疼痛は階段昇降やしゃがみ込み動作などの時に生じることが典型例であり、時にひっかかり感を訴えることもあります。
バケツ柄状断裂が関節に嵌頓(挟み込まれた状態)した場合、膝関節を伸ばすことが不能になることがあります。(=これらの症状をロッキング症状と言います。)
〈検査〉
半月板損傷の誘発テストとして
McMurray(マックマレー)テスト
Apley(アプレー)テスト
があります。いずれも断裂した半月板をねじったり関節間に挟み込んだりすることにより、疼痛やクリック音を誘発するものになります。
McMurrayテスト
仰臥位で膝を最大屈曲位として、内側もしくは外側の関節裂隙に手指をあて、下腿に回旋を加えながら伸展させる。外側半月板損傷では下腿内旋で、内側半月板損傷では下腿外旋で疼痛やクリック音が誘発されることが多い。
Apleyテスト
腹臥位で膝を90°屈曲位として、足底から圧迫力を加えながら下腿を回旋させると疼痛が誘発される(grindingテスト)。また、靭帯損傷に対する検査では牽引力をかけながら回旋させる(distractionテスト)がある。
〈当院での治療法〉
① 安静
膝を休め、負担をかけないようにします。症状によってはテーピングやサポーターで固定を施したり、松葉杖を使って免荷(体重をかけないように)を行ったりします。
② アイシング
腫れや痛みを軽減するためにアイシングを行います。院での処置は当然ながら、ご自宅などでも保冷材にタオルを巻き、10分~15分のアイシング→10分~15分の休憩を繰り返すと、より炎症症状や痛みを抑えることができます。
③ 物理療法:
リハビリテーションやストレッチで筋力を維持し、膝の安定性を高めます。
筋力強化:
大腿四頭筋やハムストリングスの筋力を強化し、膝の安定性を高めます。
柔軟性向上:
ストレッチを行い、関節の柔軟性を向上させることを目的として行います。
症状によって、処置方法や運動・ストレッチメニューは変わります。実際にどのように行っていくかを、運動・ストレッチメニューの指導として使っているリハサクを使って一例をご紹介します。
急性期
関節可動域獲得期
荷重エクササイズ初期
荷重エクササイズ後期
筋力増強期/プライオメトリック期
また、トレーニングについてはFAST TRAININGという加圧トレーニング(機械)を使いながら行うとより短時間で負荷を掛け、鍛えることができます。
FAST TRAININGとは?
専用ラップを大腿部や上腕部に巻き、加圧しながらトレーニングする機械になります。(今回の膝の症状でしたら大腿部に巻き、実施します)このトレーニングでは自重のみの負荷であるにも関わらず、本来荷重負荷を加えないと鍛えることができない「速筋」(=瞬発力やパワーが必要な運動を行うときに活躍)を独自のメカニズムによって短時間で効率よく鍛えることが可能なトレーニング機器になります。
1回のトレーニング時間はたったの“30秒”!患者さんの症状にもよりますが、1回のトレーニングでおおよそ3~4種目実施しますが、それでもかかる時間は15分ほどです。
このFAST TRAININGでは家やジムなどでトレーニングをするよりも遥かに短時間かつ効率的にトレーニングすることが出来ますので、半月板損傷のように太ももやお尻周りの筋力トレーニングにはこの機械を使って行うこともあります。
通院ペースは、効果を出すための適切なトレーニング頻度として、運動を始めたばかりの初心者は週2~3回、スポーツ経験者は3~4回、スポーツ選手で週4~5回が望ましいとされています。
筋肉はトレーニング後、およそ2~3日(48~72時間)で修復され、元の筋肉より少し太い状態になります。このタイミングで次のトレーニングを行うことでより効果的に筋力・筋持久力を増加することにつながります。大切なことは、筋力トレーニングは1回きりではなく継続かつ定期的に行うことが大切です。
変形性膝関節症
〈原因〉
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、関節の変形や痛みを引き起こす疾患です。主に中高年に多く見られ、日常生活における膝の負担や加齢による変化が原因とされています。
〈症状〉
初期には、膝関節のこわばる感じや座位を続けた後の立ち上がり時の疼痛、歩き始めの疼痛(starting pain)が見られることが多いです。いったん歩き始めると疼痛は軽快しますが、長時間歩行すると再び増強するのが特徴の一つです。
大部分の症例は、内側大腿脛骨関節面が侵される内側型であり、疼痛も膝関節の内側に存在します。また、膝蓋骨(お皿)の周囲にも疼痛を訴えたり、膝窩部(膝裏)の緊張感を訴えたりすることもあります。進行すれば、歩行時や階段昇降時などにも持続的な疼痛が生じてきます。
初期には関節可動域はあまり侵されませんが、わずかに伸展(膝を伸ばすこと)と正座が制限される程度です。
変形性膝関節症の進行度を評価するものの一つとして、FTA(大腿脛骨角:Femoro-Tibial Angle)という大腿骨と脛骨のなす角を調べます。男性が平均178°、女性では平均176°が正常値ですが、内側型変形性膝関節症で病変が進行すると膝関節は屈曲、内反変形が増強していき、180°以上になると内反膝(O脚)と判断されます。
〈治療法〉
□ 生活習慣の改善: 体重管理や適度な運動を行うことで膝への負担を減らす。
□ 物理療法: リハビリテーションやストレッチ、温熱療法などで症状を緩和する。
□ 薬物療法: 痛みを和らげるために鎮痛薬や抗炎症薬が使用されます。
□ 注射療法: ヒアルロン酸やステロイド注射で炎症を抑え、痛みを緩和する。
□ 手術: 重症の場合、関節鏡手術や人工関節置換術が考慮されます。
〈予防法〉
□ 適度な運動: 筋力を保ち、膝への負担を軽減する。
□ 体重管理: 適正体重を維持することで膝への負担を減らす。
□ 正しい姿勢: 正しい姿勢での歩行や座り方を意識する。
〈当院での治療〉
上記にも記しましたが、変形性膝関節症における保存療法の基本は膝への負担を減らすことや正しい姿勢や歩行、座り方をすること。また、適度な運動を行い、筋力を保つことがとても重要になります。
当院での治療としてはトータルバランス療法による骨盤の歪み、姿勢改善、可動域訓練を行いながら、FAST TRAININGで筋力トレーニングも併せて行う治療を中心に行います。
また、トレーニングにおいては大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)や股関節外転筋の筋力強化を行っていくことで膝関節を安定させていきます。膝関節が安定していくと症状改善が見込まれるため、それらのメニューを中心に行っていき、機能改善を図っていきます。
最後に。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
膝の悩みを持たれている方はこの記事をお読みになられている方、身の回りの方に多くいらっしゃると思います。
症状が進行してしまうと保存療法では回復が見込めず、人工膝関節などの手術適応になってしまうことも多くありますので、違和感を感じたり、本記事を見て当てはまることが少しでもあれば、まずはお気軽にあいあい整骨院へご相談いただけばと思います。